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子どもは家を選べない〜その16〜

[650]  真理康子  2010-03-24投稿
千鶴子には、己れの所業が理解出来ていなかったのであろう。
結衣子の父親に助けられた一族にとって、千鶴子は一族でもなんでもなかった。
結衣子の父親と、その子との縁を、親族扱いしようと決めた。
その頃は、房子の劣悪な性格は、まだ、父親がフォローした。
異性関係にだらしない千鶴子の場合、果たして離婚後に産まれた結衣子が我が子かどうか自信を持てなかった父親にとって、姉の結衣子の足元にも及ばず、姉のモノを片っ端からクスネとりたいような哀れな末娘でも可愛いと思えた。
結衣子が嫁ぎ、親としての役目を終えたが、房子に縁談が来るわけがなかった。
気難しかい娘を、花見や近隣の散策に連れて歩いたが、千鶴子を同伴させることはなかった。
房子は、自分が実家の跡取りぜんと思い込み、父親の生存中は、母親である千鶴子を悪し様にしていた。
父親の死後、急に母親と親しくしても、誰一人、その真意を理解するものはなかった。
千鶴子と房子を知る一同が、金銭的な結合だと称した。
千鶴子は、食い口が満たされれて、自らの財産が減らないのであれば、いくらでも卑怯に生きることが出来た。
こうした二人と、結衣子をはじめ、周囲が理解しあえるはずがない。
千鶴子と房子は、共に、周りを呪い、生き地獄の毎日を、墜ちていくだけだった。
結衣子は、この無様な二人が天に召されるのを見届け、息子の翔が確固たる生活を築くのを見届けるのも自分の役目なのだろうと思った。

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