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alone 14=昔話(side晶?)=

[425]  兼古 朝知  2010-03-26投稿


――晶の父と母は、水鶴と会わなくなってすぐに殺された。
家のすぐそばに自神と皆神の境界があったから、という要因が主だろう。

両親は晶と晶の兄、山口晴一(ヤマグチ ハルイチ)を家の押し入れに隠し、自らを犠牲に二人を護った。

それからの二人は、お互いを助け合いながら生きていった。

…晶が9歳の時だった。
15歳になった晴一は、戦いに参加することになった。

「にーちゃん…」

「何?心配かよ、晶?」

ケラケラと笑って晴一は言った。

「だってもし にーちゃんが死んだら俺…」

幼い晶の脳裏に、押し入れの隙間から見えた両親の凄惨な光景がよぎる。

「…お前みてぇな泣き虫な弟を残して死ねるかよ、バァーカ」

ニカッと笑って、晴一は晶の髪をくしゃくしゃにした。

「あーっ、何すんだよ、バカ兄!!」

ムッとして晶が言う。

「てめッ、にーちゃんに向かってバカとは何だ!バカとはッ!!」

「んだよー!!にーちゃんだってバカって言ったじゃん!!」

「俺はいいのッ!!」

「何でだよー!?」

「兄貴の特権ってヤツ?」

「ずりィーッ!!」

「はははっ!!」

盛大に笑う晴一。
その表情は、明日戦いに駆り出される15歳の少年とは思えないほど明るかった。

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