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パンケーキにお住まいの野ねずみさん1

[632]  α  2010-03-29投稿
 こちらはパンケーキにお住まいの野ねずみさんのお宅です。
 つまりパンケーキの中なんですね。
 丁寧に焼いたパンケーキを一枚いちまい重ねた内側をくり抜いて造られています。
 屋根には可愛い白いクリームと赤い苺が乗っています。

 お宅の中では野ねずみのお父さんが新聞を読みながら訳知り顔で唸ります。

 「う〜む、穀物の価格が下がらんのぉ
 車が走っても私らが飢えたら意味ないがな…」

 ため息まじりのつぶやきに野ねずみ母さんが張りのある声で急かします。

 「ご飯がなければパンケーキを食べれば良いじゃないの
 それより早くお仕事においでなさいな」
 つぶやきにも答えてもらえるのは親しい間柄で起こることかと思っていたら、最近はネット上でも応対があるようです。
 なんだかちぐはぐな気がします。

 「わかった、わかった
 さて、行くかー」

 どっこいしょーと立ち上がった野ねずみ父さんに、今起きたばかりで寝ぼけなまこの野ねずみ坊やが目をこすりながら見送ります。

 「いってらっしゃい、おとーさん」

 「ああ、行ってくるよ、坊や。おまえも遅刻するんじゃないぞ。母さんの言うことを良く聞くんだぞ」

 「はーい…。ふぁ〜あ」

 あくびをする野ねずみ坊やを野ねずみ父さんは目を細めて見て、毛布を抱えたままの坊やに野ねずみ母さんは渋い顔で叱ります。

 「こら坊や。早く学校へ行く仕度をなさいっ」

 「はあ〜い」

 坊やは慌てて顔を洗いに向かいます。

 そんな日常に満足して笑いながら野ねずみ父さんは板チョコレートのドアを開けて外へ出ました。

 ところが、真っ白なディッシュの上に踏み出した野ねずみ父さんの上に、屋根から真っ赤な苺が転がり落ちて来たのです。
 何と言うことでしょう。つややかなディッシュの上に真っ赤な苺の果汁が滲みます。
 丸っぽい苺の下で野ねずみ父さんが必死でもがくのに呼応して赤い染みは広がってゆきます。
 変事を察知した野ねずみ母さんと野ねずみ坊やが野ねずみ父さんの元へと駆け付けました。

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