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扉を開けて

[806]  兼古 朝知  2010-04-03投稿


ある日、友人が私の家に泊まりがけで遊びに来ていた。
夜になり、私たちは私の部屋で他愛もない話に花を咲かせていた。

友人は私に言った。

「ねぇねぇ、ちょっと怖い話していい?」

「いいよ!どんなの?」

好奇心の強い私は、快く承諾した。

「じゃあ、今からアタシが言うことを思い浮かべてね?」

友人は語り始めた。



――あなたの家の玄関を思い浮かべてください。
あなたは玄関に立っています。
あなたは家の扉という扉を開けていきます。
全て開けた後、あなたは玄関に帰ってきます。
…その間、あなたは誰かと会いましたか?



友人は話し終えた。

「? それだけ??」

私が問うと、友人はニッと笑って言った。

「だからさ、思い浮かべてる中で誰かと会った?」
うーんと私が先ほどの想像を思い起こし、ふと気がついた。
目の前にいる友人が、想像の中の私の部屋にいた気がする。

「あんたがいたよ」

私が言うと、友人は一瞬 動きを止めた後で、苦笑いを浮かべて言った。

「その人は近々 死ぬんだってさ」

まぁ、ただの そういう怖い話なだけだけどね、と友人は また笑った。

「そーなんだ!!ホントに死んだらウケるねー!あ!てゆーか、知ってた!?」

「何々?」

勿論 そんな非科学的話を信じることはなく、私たちは違う話を始めた。


その時だった。


突然、家中の明かりが
フッ…と消えた。

「やだ、停電?」

「私 ブレーカー見てくるよ。待ってて」

私が立ち上がって懐中電灯を手に取ろうとした瞬間。



――バァンッ!!!!



扉が、勢いよく開いた。

感想

  • 36933: いいね。こんな感じの待ってたよ! [2011-01-16]
  • 36935: ありがとうございます♪:朝知 [2011-01-16]

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