携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ノンジャンル >> 僕とご主人様の物語3

僕とご主人様の物語3

[494]  矢口 沙緒  2010-04-10投稿



そして彼自身も塔の最上階に昇り、自らの目で世界を見渡した。
それもまた、ひとつのデーターだった。
そのため塔は、海と地上を見渡せるこの岬に建てられたのだ。
それらの膨大なデーターを管理し分析するのが彼の仕事だった。
ある決断を下すために…
今、地上に人間はひとりもいない。
いや、300年以上前から、覚醒している人間はひとりもいないのだ。
世界32億以上の人間は、300年以上前から地下で永いコールドスリープ冷凍睡眠に入っている。
300年以上前、地球は壊滅的な状況にあった。
大気や海の汚染、CO2によるオゾン層の破壊、そのために引き起こされる地球温暖化と数々の異常気象。
すでに地球の状況は末期的で、このままでは人類のみならず、やがては地球上のすべての生物が死滅すると予想された。
そこで人類は最後の決断をした。
全人類を地下の施設にコールドスリープし、地球が自己修復するのを待つのである。
地球が自己修復できるのか?
またできたとして、それにはどの位の時間を有するのか?
すべては未知数だった。しかし、もうほかに方法はなかった。
人間は世界各地に全人類を収容できるだけのコールドスリープ施設を建設した。
世界中にセンサーを設置し、この塔を築き上げ、管理人を置いた。
そして人類は永い眠りについた。
それから300年以上の時が流れた。
彼はこの塔の管理人であり、世界中の管理人であり、そしてまた目覚まし時計でもあった。彼はあらゆるデーターを分析し、その数値が定められた数値を上回った時に、人類を目覚めさせる役目を担っていた。
その時地球は、また青く美しい星に蘇っているはずだ。
彼は最上階の展望スペースからエメラルドグリーンの海原を見渡した悩んでいた。
すでに数値は一年前から正常値を示し、いつ人類を目覚めさせてもいい状態になっていた。しかし、彼は悩んでいた。
それをしていいのかどうかと…
人類を目覚めさせれば、その瞬間から地球は、また破滅への一歩を踏み出すのではないのか…

感想

感想はありません。

「 矢口 沙緒 」の携帯小説

ノンジャンルの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス