携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> SF >> 航宙機動部隊第四章・9

航宙機動部隊第四章・9

[495]  まっかつ改  2010-04-12投稿
参謀長・アボース准将が戦況解析盤の傍らに寄って来て、
『敵は両翼を広げましたな―包囲する積もりでしょうか』
『恐らく火線を確保する為だろう』
バクーシンの判断はおおむね正しかった。
艦列の密集が過ぎれば砲戦に参加出来る船が少なくなるばかりでなく、身動きが取り難くなり格好の標的として滅多撃ちの犠牲になりかねない。
攻撃にも防御にも不利になるリスクが高いのだ。
ここで再びオペレーターが司令座を振り向き、
『偵察艇ハンプシャー2号機、敵と再接触。画像送信―来ます』
続いてメインスクリーンには、ぶちまけられた墨汁の様な見慣れた宇宙を背景に、一面に散らばった金銀の砂粒が次第に帯状に集まりながら少しずつ膨らんで行く光景が映し出された。
その有様を見て艦橋のスタッフは残らず息を呑む。
それは味方全将兵も共有している事、間違いないだろう。
訓練でも無ければ演習でもない。
いよいよ本物の戦闘―殺し合いが始まるのだ。
両軍は接近に伴って急激に速度を落とす。
『彼我の距離、0.075宙浬(七五修正光秒)―敵信号灯を確認、紫一連《ワレナンジヲコウゲキス》です!』
興奮気味の報告が艦橋中に無形のドライアイスを撒き散らす。
バクーシン少将は指揮座から立ち上がり、
『戦艦を前面に展開せよ。亜光速実弾《SLSV》、撃ち方用意!』
星系合衆国軍も統合宇宙軍の挑発に応じて全部隊紫一連の信号を艦体中に灯した。
そして五分後―\r
『撃ち方始め!』
バクーシンは鋭く言い放ち、ここに戦闘が始まった。

連合艦隊から放たれた無数の磁性体が蝗と化して音もなく空間をつん裂く。
行く手に立ちはだかる帝国機動部隊に我先にと飛び込んだそれ等は、破壊と殺戮を欲しいままにしその弾道上に色とりどりの花火を打ち上げる。
反撃は当然来た。
やはり同じ亜光速実弾がすかさず合衆国の艦列に突き刺さり、ずたずたにしてやろうと膨大な殺意と憎悪を込めてつるべ撃ちされて来る。
『防御管制―電磁防護膜を前面に集中。落ち着いて敵弾をさばけ』
死の接近を告げる警報が遠慮会釈なくわめきたてる中、合衆国先鋒隊旗艦《グロズヌイ》にてアボース准将は速やかに下知した。
淡く白光する防護膜が幾重にも張り巡らされ、その後方では戦艦と防宙巡洋艦がコンビを組んで磁力干渉帯と放水システムで迎撃の備えを固める。

感想

感想はありません。

「 まっかつ改 」の携帯小説

SFの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス