子どもは家を選べない〜番外編〜
その日、「彼」は、樹を見上げていた。
そこは、いつも、空が低く感じられた。
苦手な虫。
寒い季節には、決まって、それが『いる』
でも、なぜか『きれい』な樹。何も言わないのが『いい』。
わけもなく、ただ、虫が嫌いだ。
『在る』こと自体が耐えられないのに、カラカッてくる『やつら』がいる 。
なぜだ?
放っておいてくれたらイイノニ。
だったら、まだ、虫の方がマシだ。
虫が、一度、大きく払われたことがあった…
女の子が『来た』。
走って来た。
マッシロの、ひらひらした服を着ていた。
回りの、誰もが着ない、ひらひらした、 大きなリボンの着いた服を、風になびかせて走って来た。
頭にも、リボンが着いていた…。
変な子…。
虫が、バーっと散った。
助かった。
「だいじょうぶ?○○ちゃん?」って言った。
怖くなかった。
その子の方が、怖そうな顔をしていた。
すぐに、大人が、その子を連れていった。
あの子も、ゼッタイ、虫が苦手なんだろう。
泣いても、誰も助けに来ないって聞いたけど、あのまま、ここにいたら、いつも、助けに来そう…。
ぼくの名前、知ってた。
なんていうのかな…?
寒い日のひととき、「彼 」は、
一瞬、過ぎた瞬間を思い返していた。
やがて、すっかり、記憶から薄れた断片の残っていた頃の話である。
そこは、いつも、空が低く感じられた。
苦手な虫。
寒い季節には、決まって、それが『いる』
でも、なぜか『きれい』な樹。何も言わないのが『いい』。
わけもなく、ただ、虫が嫌いだ。
『在る』こと自体が耐えられないのに、カラカッてくる『やつら』がいる 。
なぜだ?
放っておいてくれたらイイノニ。
だったら、まだ、虫の方がマシだ。
虫が、一度、大きく払われたことがあった…
女の子が『来た』。
走って来た。
マッシロの、ひらひらした服を着ていた。
回りの、誰もが着ない、ひらひらした、 大きなリボンの着いた服を、風になびかせて走って来た。
頭にも、リボンが着いていた…。
変な子…。
虫が、バーっと散った。
助かった。
「だいじょうぶ?○○ちゃん?」って言った。
怖くなかった。
その子の方が、怖そうな顔をしていた。
すぐに、大人が、その子を連れていった。
あの子も、ゼッタイ、虫が苦手なんだろう。
泣いても、誰も助けに来ないって聞いたけど、あのまま、ここにいたら、いつも、助けに来そう…。
ぼくの名前、知ってた。
なんていうのかな…?
寒い日のひととき、「彼 」は、
一瞬、過ぎた瞬間を思い返していた。
やがて、すっかり、記憶から薄れた断片の残っていた頃の話である。
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