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alone 61=寝返り=

[377]  兼古 朝知  2010-04-22投稿


「晶 お前…。今 何と言った?」

水鶴は怪訝そうな顔つきで聞いた。

「一緒に自神の教祖をぶっ倒しに行こうぜ?って言ったんだけど、聞こえなかった?」

晶は首をかしげて聞き返す。

「お前…」

言いかけて、水鶴は その言葉を飲み込んだ。

――『誰についても構うまい』

あの時の理一の言葉。

(いっそ…裏切るか?
…いや、しかし……)

裏切ってしまいたい。
水鶴は そう考えたが、ひとつ懸念するべき箇所に気づき、押し黙る。

「何だよ?何か心配?
な、来いよ。
俺は大歓迎だぜ?」

晶が笑って手を差し出した。

「やりたいのは山々だ。
…しかし私は皆神には行けない」

「?」

何故だと言わんばかりの表情で晶が水鶴を見ると、それを察したのか 水鶴は言った。

「皆神の人々を殺し続けた私が…無条件で受け入れられると思うか?」


(晶は私を解ってくれる。

友達だと言ってくれる。

晶のもとに行けば、きっと“独りきり”ではなくなるだろう。

だが…)


水鶴は己のおかした所業に、希望への道を阻まれてしまった。



「関係ねーよ」

晶の予想外の言葉に、水鶴は思わず耳を疑った。

「よく考えろ晶…!
仮に私が皆神に寝返ったとして、お前まで何か言われたらどうする?」

水鶴は晶の身を案じての言葉を投げかける。

「別にいいぜ?
だって水鶴が独りきりになる方が嫌だし」

「…!!」

「だいじょーぶ!
俺に任せろって!!」

ニッと笑ってみせる晶。

水鶴が、ゆっくり晶に近づいた。

「晴一にぃさんそっくりだ、今のお前は…」

水鶴は優しく微笑んで…

晶の手を握った。



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