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言えないバイバイ 10話 (全10話) 現実

[422]  きゃしー  2010-04-22投稿

――さよならの日

あいつの周りにはたくさんの人。

うちは一人、ぼんやりするばかり。

そして―\r

「ゆき、俺…そろそろ行くな」

「え…もう?」

「…うん。」

背を向け歩きだすこうた。

そんなあいつに手を振る皆。

うちは何もできずつっ立ったまま。


弱気なうちにはやたらと強くなる友人は、背中を押して欲しい時に限っておらん。


人を見送るのってこんなに悲しかったっけ?


もしここで、“好き”の一言でも言ってしまえば、うちは皆の笑い者。

そんな恥、捨てれたらいいのに。


だんだん離れるあいつ。



あかん



「待って!」

皆から離れて、あいつに駆け寄る。

「?」

「あの、いっぱいごめん!…それから…」

きっと今のうちの顔、最悪。


「…ありがとう」


その言葉が精一杯やった。

あいつは“こちらこそ”って笑ってた。



結局臆病なうちは好きもバイバイも言えなかった。

ただ、二人はまたねって手を振った。


うちはもっと強くなる。

そして、今度はきっと伝えてやる。絶対に。


次会った時、もし彼女が出来てたら悲しいけど、でも、うち以外にあんな奴好きになる人、きっとおらん!

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