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夢のあと5/5

[342]  萩原実衣  2010-04-23投稿
私は、慧から視線を外した。

今の今まで、凛としていたい気持ちがぶっ飛んだ。
どうやら、同伴らしい。しばらくして、私は、化粧室に向かった。

化粧室から出ると二人の姿はなかった。
もう一杯呑んだら帰ろう…。
「お客様…。先ほどいた男性のお客様からです」
一枚のメモをもらった。
そこには、『電話して…。』という言葉と携帯の番号が殴り書きで書いてあった。
なんだ??

この間先に帰ったのを怒っているのだろうか…。
店を出た後、慧に電話をした。ドキドキしているのがわかった。

「生来さん??ごめん。後でかけなおします」

なんなんだ!!まぁ、仕事中か。

家に着くと携帯がなった。
「生来さん?さっきは、ごめん。この間のお礼が言いたくて…。っていうか、なんで先に帰ったの?」
「疲れていたみたいだからさ」
「生来さん…。これからあのカフェ来れる?」

戸惑った…。

「もう…家に着いたから」
「逢いたいんだ」
慧のいつもと違う荒げた声に私は、戸惑いを打ち消した。

ほどよくして…。
チャイムがなった。
慧が来た。

私は、慧の気持ちを試した。
本当に来た。
「綺麗な部屋ですね」
「なんか呑む??」
「紅茶 頂けたらうれしいんです。」
いつもの慧だった。

「どうしたの?」
「…。」
慧は、黙っていた。
私は、待った。
紅茶を入れてソファーに座ると…慧私を抱きしめた…。
「生来さんに逢いたくて…。でも、生来さんお客で、僕は…言ってはいけない言葉だった。
でも…。逢いたくて逢いたくて…」
慧は、更に強く私を抱きしめた。
私は、このまま時間が止まって欲しいと思った。
「慧…私、素直になっていいのかな?」
慧は、熱くキスをしてくれた。
私達は、時間を忘れて愛した。

翌朝、慧は、手紙を残して帰っていた。

そこには、彼の心の葛藤とやさしさが詰まっていた。
もう…壁を感じてる自分が恥ずかしかった。
慧は、クラブをやめた。私と慧は、毎日愛しあった。
夢の時間は…。
時間制限の二人だった。
慧の夢のため…。

1ヶ月後彼は、イタリアに旅立った。

でも…。私は、慧のおかげで心の葛藤や感情を取り戻した。

私の夢のあと…彼の夢の始まりになった。

end

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