アオイ、そら。10
3-4 ゆきにい
『アオイの笑顔を取り戻せなかった事です。』
ゆきにいは優しいが故に呪いを明かしてしまったアイツに,
かなり責任を感じているようだった。
しかし,
話は原点に戻る。
『約束しました。アイツと。織姫と彦星の呪いを解くと。』
またもや私は自分でも驚きの事を言っていた。
『私が救います!!アイツも,あなたも。』
そう,全ては呪いを解くことで解決するのだ。
しかし,
『救えませんよ。私だけは。』
冷酷にゆきにいは言った。
『症状が出てしまっているからです。ホラ。』
と,さっき飲んだ薬を取り出した。
『水止めの薬です。呪いがかかった者は,死が近くなると清水を吐くんです。』
耳を覆いたくなる様な恐ろしい話だった。
しかし私は,
ー 最後まで聞かなければ。
そう思っていた。
『この薬は呪いに直接効果があって,少しだけ延命出来るんです。しかし,呪いに効果があっても体には毒で,結局は,自らの命を削っていることになるんですよ。』
『そんな‥。』
もはや,ゆきにいを救う手段は無いと言うのであろうか。
『じゃあ私は,あなたに何ができますか。』
いくら考えても思いつかなかった。
死しか行く先のないゆきにいに,私に何が出来ると言うのか。
ゆきにいは少し考えてから言った。
『では,あなたに賭けましょう。アオイの呪いだけは,解いてやって下さい!救ってやって下さい‥!』
多哀家にかけられたこの複雑な呪いを,何の変哲のない私が解けるなどと言う自信などない。
けれど,
『分かりました。』
そう返事しなければゆきにいは消えて無くってしまう様な気がしたのだ。
ゆきにいは
私を見てにっこりと笑った。
〇〇続く〇〇
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