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GO AWAY#38

[431]  速見  2010-05-11投稿
第八話 謎


先ほどの杉本たちの交渉……もとい交戦を終え排水管から逃げ切った京都と雪野は現在現場から二〜三キロ離れた河原に来ていた。


「そういえば、私上野川を見るのは初めてだわ」

雪野は、息を切らしながら上野川の水で顔を洗いながら京都に話した。

「えっ?本当?佐藤さんは知立高校に入学してからこっち来たことないの?」

雪野と同じく顔を洗っていた京都は驚いた様子で雪野を見た。上野川は知立高校の目と鼻の先である。おそらく雪野は上野川とは反対方向にしか行ったことがないのだろう。

「近くにこんなにきれいな川があるなんて知らなかったわ」

「最近は晴れが続いてよかった。今は穏やかだけど、雨の日は濁流になるんだ。おっと、こんなはなしをしている暇はなかったね。とりあえずさっき見つけた薬莢について考えよう。優の資料には、被害者は至近距離で発砲されたと書いてあったね」

「うん。確か私の生徒手帳に血痕が付着していたからって理由だったわ」

「なのに薬莢を僕らが見つけた場所は現場付近にある廃墟ビルの四階だ」

京都と雪野は先ほどの現場の事を思い出しながら整理した。京都は自分のシャツで顔を拭きながら思い出していた。対する雪野はいつ拝借したのか優のハンカチを取り出して上品に顔を拭いていた。「なぜハンカチを持っているの?」と、聞くと雪野はあっさりと「ハンカチ・ティッシュは常に持ち歩かねば」と、自慢げに見せた。そこら辺はまだ優等生の雪野様が健在しているみたいだ。

「けど、薬莢が見つけたことで私の無実が証明される証拠の一つとしてみてよさそうね」

雪野は安心しきった表情で京都に話すと

「そうだね。雪野さんの学生証の血痕は至近距離の返り血というのが警察の見解だからね。現場には被害者四人を殺す最低限の弾しか見つかっていない。つまり最低でも一人は雪野さん以外の誰かが殺したことになる」

京都も安心したように言うと

「って私は本当に人を殺していないってば!」
「ごめんごめん。あくまで仮の話さ」

雪野はすかさず反発して京都の肩をポカポカと駄々をこねる子供みたいに叩いた。仮の話だろうと人殺しとは言われたくないのだろう。京都は慌てて謝った。

「しかし、そうすると妙なことになるんだよね………」


雪野は京都を叩くのを止めてまた上野川を見た。

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