携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 君と見た空*1の2

君と見た空*1の2

[523]  玲唯  2010-05-31投稿


 怒ってなかったような気がする。


 ちょっと安心した。


 辺りを見回すと、土手の下の平地に小さな公園があった。


 ここの公園でよく遊んでたなあ。


 何か懐かしい。


 私は優花を待つために、土手を降りていって公園にあるブランコに座った。


 鎖を掴んでゆっくりブランコを動かしながら空を見上げた。


 そこには澄み渡った青空が広がっていた。


 私は子どもの頃から空が大好きで、晴れの日はよく空を眺めてた。


 画用紙いっぱいに空の絵を沢山描いてた。


 あの絵、どうしたっけ。捨てたかな。


「何してんの?」


 近くからそんな声が聞こえた。


 私がその声の聞こえた方を見ると、男の人の顔が私の真横にあった。


 私はびっくりしてブランコから落ちそうになる。


 いきなり現れたのもあるけど、一番は顔の近さだった。


「そんなに驚かないでよ」


 その人は笑いながら言った。


 何なんだろ、この人。 ナンパじゃないよね。


 見た目は私と同い年くらいで、短い黒髪に紫のパーカーを着ている。


 私は少し不審に思いながら、その男の人を見ていた。


「いいよね」

「え?」


 私は思わず聞き返した。


「空だよ、空」

「ああ、うん。いいよね」

「俺、好きなんだよね」

「私も」

「ほんと?!」


 そう言って私の方を見ると、その人はキラキラした目で私を見た。


 そして私の隣にあるブランコに座った。


 この人も空好きなんだ。


 悪い人じゃなさそう。 そんな気がした。


「ねえ、名前何て言うの?」


 名前なんて聞いてどうするの。


 もう会わないかもしれないのに。


 聞いちゃってからじゃ遅いけど。


「アオト。吉澤空人」

「アオト?」

「うん。空に人って書いて、アオト。アオトって呼んで」


 何か珍しい名前だなあ。


 アオトと同じく名前を説明したいけど、なかなか言葉が出てこない。


 しょうがないから落ちてた木の棒で地面に漢字を書いた。


「莉空かあ」

「うん。私、この漢字好き」

「空って入ってるしね。俺と一緒だ」


 何か嬉しい。


 同じものが好きで、同じ漢字が入ってる人がいるの。



感想

感想はありません。

「 玲唯 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス