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自らの心で薄汚れた、カナリヤのさえずり

[415]  晩餐者  2010-06-04投稿
ある人が言った。

『19にもなったのに
哀しみが欲しいのは何故』

僕なんか、人生三分の一を過ぎたのに、
まだまだ哀しみ足りない。
まるで自分を虐めるかのように哀しみたくて、
苦しい、悲しいニュースを探す。
そしてそれを、さも自分の事のように哀れみ、人間に失望する。
そこから何か学べるようにと自分に言い聞かせている。
でも、実際学べてなんかいない。
今の僕は不幸じゃないから。
体感していないから。
哀しみを自ら求めるほどに、苦しみがないから。

ある人は言った。

『震える程純粋だった』

違う。
僕は違う。
哀しみ、思い悩む自らに酔いしれているだけの、つまらない人間。

不幸な他人を目の当たりにして、
自らの余裕を噛み締めたいだけの小さな人間。



薄汚れた山吹色の体をわしづかみにされ、
小さなとりかごに詰め込まれて、
笑顔のガスマスクで全く表情なんて伺えない…
けどきっと大人になれていない僕を嘲笑っているだろう…大人に連れられて、
悪意の大気が充ち溢れた

『今』

を先導させられる。
僕が苦しみもがいても、
じたばた暴れ回っても、
所詮カゴからは出られない。
ぴーぴー鳴いて、
ばたばた喚いて、
小さな肺に見えない何かが流れ込んで。



僕は不幸だ。


僕は不幸だ。


なんて僕は不幸なんだ。












けど、それでも、
今日もまた、

仰向けで眠るんだ。

仰向けで寝ていられるんだ。






この幸せを認めないなんて、僕は不幸だ。


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