携帯小説!(スマートフォン版)

腐りかけ23

[312]  ソウル  2010-06-08投稿
「ホントにすまない」
徳永 進の切羽詰まった様子が電話越しから哀しい程に伝わる
「大丈夫だから…バス停まで迎えにいってあなたが帰るまで雄ちゃんと部屋で待ってるから…晩御飯も任せて!!大丈夫だから…気をつけて帰ってきてね」電話を切る瞬間まで進は「すまないよろしくたのむ」を繰り返していた。
6月だというのにやたらと寒く風の強い日だ…今日が夜勤明けで良かった。少し休んでから買い物をして雄大の好きなちらし寿司と貝のお澄ましでも作ろう。
初めて父親抜きで雄大と過ごす事に不安が無いかと言えば嘘になるが、障害児という枠に当てはめて考えてしまうには雄大はあまりにも素直で可愛い男の子なのだ。相性なのかもしれないがアタシは雄大が騙しもせず妬みもせず物事を恨みもしない素晴らしい感性の持ち主だと、愛しくて哀しい存在になってしまっているのだ。
尚に愛されていたアタシは愛される喜びと安らぎを得た。雄大には与える愛の素晴らしさを感じている

「肉じゃがも作ろうかな」

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