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地上のロカセナ

[412]  ヤルンヴィドの番犬  2010-06-09投稿
命は争う。
時に肉体を、時に心を
傷つけあう。


皆の言葉の凶器の矢面に
立たされる者。

皆、口々にその者を
罵り、謗る。

だが、その者とて
黙ってはいない。

一つの口で、無数の口々と斬り合うのだ。

さながら、それは
修羅場か醜態か。

確かに、その者には
明らかな非があった。



だが、それだけだろうか?

その者を罵る周りには、
完全に非がなかったのだろうか。

その者にしか、非はないのだろうか。

では、その者を
そこまで追いやり、
追い詰めてしまったのは
一体何だというのだ。

その者を利用していたのは一体誰だというのだ。

その者を孤立させてしまったのは非ではないのか。

その者を尊重しなかったのは非ではないのか。

皆、自らに潜む非を、
その者を責める事で
隠滅しようとしている
のではないのか。


孤独であり続けるのは、
今でも難しい。

他の命との関与は、
生きている限り避けられない。

他を淘汰し、排斥する
事でしか自らを守れない。


哀しいサガ。



ロカセナは、
黄昏をいざない、
滅びの瞬きを早める。

失われた光は、
黄昏が終わる刻まで
取り戻せない。

しかし、
黄昏が終わる刻は、
全てが燃え、
全てが沈む刻。









それでも、
今日もどこかで
ロカセナが行われている。

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