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命を支える樹

[407]  ヤルンヴィドの番犬  2010-06-09投稿


空が落ちたら
世界は終わる。

空が落ちたら
命は絶える。

だから、そうならないよう支えるものがある。

それは一体何だろう。

目に見えないそれを
探る時、
目に見えない何かなのだろうと推測する。

それは『愛』であったり

『希望』であったり

『夢』かも知れないし

『心』かも知れない。

もしかしたら、自分以外

『誰か』
という可能性もある。


ともあれ、その
見えざる何かが、空と
大地を支える樹と
なっているのだ。


しかし、それには
様々な障害が付きまとう。

根には、その旨味を
かじる者がいる。
欲望だけが動力の
その者は、根をかじる事しか考えておらず、
浅はかなその頭脳は、
やがて樹を腐らせ、
樹を倒してしまうだろう。


幹にも、欲望にまみれた
者がいる。
『純粋』が美味い事を
知っているから、
新芽が出るたびに
我先にと貪ろうとしている。


枝にも、厄介な輩がいる。枝から枝へと走り回り、見えない『何か』が
見えない事をいい事に、
ある事ない事言い触らす。そうして、他の命が
自らの話で動く事を
楽しみ、嘲笑っているのだ。




だから、樹を誰かが
見守り、支え、助けなければならない。

それは、とある誰かかも
知れないし、
自分自身かも知れない。
もしくは、生きている
全ての命かも知れない。

命を支える樹を守るのは

命そのものなのかも
知れない。













それをいにしえの人々は

『生命の樹』
『宇宙樹』
『世界樹』

などと呼び示した。


それなのに。


その樹の下で、

愛しき存在を守るために

自らを守るために、

命が殺し合っている。












『生命の樹』の下で。

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