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かけがえのないもの 3

[506]  デフレーター  2010-06-22投稿
「よし!今作るからゆっくりしてて」

「はーい。」

隼人は瑠奈に優しく微笑みかけ、料理を開始した。

真剣に料理を作る隼人をじっと見つめながら瑠奈は口を開いた。

「やっぱり変わらないなぁ、お兄ちゃん」

「え?」

「料理してるときのお兄ちゃんって、凄くかっこいいよね。」

「なんだよ急に…」

隼人の頬はわずかに赤くなった。

「私ね、お兄ちゃんが作ってくれるオムライスが一番好きなんだ。」

瑠奈は屈託のない笑顔でそう言った。

「お父さんもお母さんも帰りが遅かったから…お兄ちゃんと私で交代でごはん作ってたよね。」

瑠奈の言葉に隼人は子供の頃の事を思い出す。−−−

「瑠奈、今日はお兄ちゃんがご飯作るね。」

「うん!」

「何食べたい?」

「何でもいいよ!お兄ちゃんが作ってくれるなら」

無邪気に笑う子供の頃の隼人と瑠奈

隼人は子供ながらに、瑠奈の笑顔を守っていきたいと思っていた。

子供の隼人は覚えたばかりのオムライスを一生懸命作った。

「うわー美味しそう!」

瑠奈の弾けるような笑顔と歓喜にうわずった声。

「瑠奈のために一生懸命作ったよ。」

「ありがとうお兄ちゃん!いただきまーす」

オムライスを頬張る瑠奈を隼人はじっと見守った。

「美味しいー!お兄ちゃんすごいね!」

「ありがとう、瑠奈」

瑠奈に喜んでもらえる。

ただそれだけで、隼人は自信をつけた。

それから何度となく

隼人は瑠奈にオムライスを振る舞った。

瑠奈の笑顔を見るために−−−


「あの頃はみんな私たちだけでやってたから大変だったけど…すごく楽しかったよ。」

瑠奈の声で隼人は回想から引き戻された。

「瑠奈?…やっぱり何か変だよ。」

「え?」

「何で急に昔の話しなんかしだすの?しかもなんかしんみりしちゃってるし」

「うーん…私もよくわかんない」

瑠奈はちょっと首を傾げた。

「ただ…料理してるお兄ちゃん見てたら懐かしくなっちゃって」

「ふーん…まあいっか。…よし、出来たよ。」

「あ、はいはーい」

瑠奈は立ち上がってテーブルに皿を運んだ。

詳しいことは食事で聞こう…


続く

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