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欲望という名のゲーム?24

[347]  矢口 沙緒  2010-06-27投稿



「ではさっそくゲームの詳しい説明に移ろう。
まず宝を隠してある範囲だが、それはこの屋敷及びその周囲の庭とする。
つまり、庭を取り巻くあの林は『O・B』という事だね。
勿論あの一本道も除外する。
次に特別除外エリアについて説明しておこう。
この特別除外エリアとは、この屋敷の中にあって、絶対に宝を隠していないという場所の事だ。
まず、二階の一号室から六号室までの六部屋が、これに相当する。
ここを除外しておかないと、他人の部屋にどかどかと踏み込むような事にもなりかねん。
次に調理場と、それに隣接する牧野夫妻の自室。
これもゲームから外す事にする。
牧野さん達の仕事や生活を、巻き込みたくはないのでね。
それに調理場を荒らされてしまっては、満足なディナーも望めんよ。
以上、特別除外エリアに財産相続書を隠していない事を、ここに宣言する」
雅則は片手を上げ、宣誓のポーズをとった。
「つまりだ。
林よりも内側で、しかも特別除外エリアを除いた全ての場所が、このゲームのゲーム盤という事になるかな」
彼はそこで一息つき、グラスのワインを飲み干した。
そして再びグラスにワインを注ぐ。
「さぁ、これでゲーム盤の説明は終わった。
さて、次に約束したヒントだがね。
ヒントはこれだよ」
右手にワイングラスを持ったまま、雅則はテーブルの下に屈んだ。
彼が再び姿を現した時、グラスを持った右手に一匹の猫を抱えていた。
「あら、あの猫?」
孝子が言った。
「知ってるの?」
隣の深雪が小声で尋ねる。
「ええ、さっき庭で見かけたわ」
「ヒントとは、私のこの右手の中にいる、これだ。
この猫の名前は『パブロ』といって、ご覧の通りの三毛猫だ」
そう言って、空いているほうの手で猫の頭を撫でた。
猫は雅則を見上げてニャーと鳴く。

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