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The Last Escape 第一章『寒波』 2

[361]  エアロ  2010-07-03投稿
「どうして、そんなにそのジャンパーを大切にしているの?」
そう安っぽいという訳でもないが、なぜ人に貸せないと言う程それを大切にしているのか、よっぽどの理由でもあるのだろうか?私には理解しかねた。
「ああ、…これな、初めてのバイトの初任給で、っていうか初めて自分で手に入れた金で買ったものだから、愛着沸いちゃって」
『本当にそれが理由?』と聞きたい気持ちを抑えて、私は今もっと気になりだした事を聞いてみた。

「ふうん。ところで私達は今、どこへ向かっているところなの?」
奥へ奥へと進んでいるのは確かだが、彼は何の当ても無しに進んでいる様子ではなかった。
「こっちから、水の音が聞こえてくるからな…
そうだソフィア、野宿になるけど、平気か?」
「えっ?あ、うん。平気」
初めて名前を呼んで貰えたので、私はいささか動揺した。が、彼はそれに気づく事もなく、
「良かった。ダメだったら、どうしようかと思った」と言って、苦笑するのみだった。


それから、十分は歩いただろう。私の耳にも、川の流れが聞こえてきた。
「もう少しだ。着いたら、休憩にしよう」
私は頷いた。













同時刻―\r
とある超高層ビルの最上階の一室から、ある男が外を見下ろしていた。

ノックの音が聞こえる。
「何の用だ」
「大統領暗殺事件の最重要参考人二人に関する、報告を携えて参りました!」
「よし、入れ」
部下に背を向けたまま、彼は応対した。

「簡潔に申し上げますと、ある時刻よりの目撃情報が途絶えており、二人は山に入ったものと思われます。」
「山狩りをしようとでもいうのか?」
「既にその手はずは整っております」
「馬鹿者が」
「で…ですが、私どもはこれが最善と判断し…!」
男はようやく向き直った。威厳ある顔つきに、白髪混じりの金髪。鍛え上げられた身体が、威厳を強調していた。

「この、大馬鹿者が!奴に気付かれて場所を移動されたら、面倒になるだけだろうが!!」
「で、出過ぎた真似を、も、申し訳ありません…
ドーランド長官」
そう、この男こそが…

「それに、ゲームは長引いた方が、面白いではないか」
この男こそが、この国の警察のトップ、警察庁長官なのだ。

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