帰ってくれ 4
綾香を待つ間、麻友美は亮平の部屋をうろうろ歩き回り、珍動物を見るような目で色んなものを見ていた。
「麻友美、ちょっとは落ち着け。」
「お兄ちゃん。麻友美が前来た時に置いてった歯ブラシはー?」
「あ、やべっ…」
亮平は慌てて洗面台から歯ブラシを持ってきた。
「何パニクってんの?」
「こんなんがあったら絶対修羅場だろ」
以前麻友美が遊びに来たとき、歯ブラシを持ってきていた。泊まるつもりだったんだろう。
当然その日のうちに帰ってもらったが、歯ブラシがそのままになっていた。
幸い綾香はそれから遊びに来てないので、問題はなかったが…
「全くお前ってやつは…」
麻友美に歯ブラシを突き返しながら亮平は溜息をついた。
「いいじゃん。妹なんだし。」
ほんとにお気楽だな…
そういう所は麻友美の長所でもあると思ったが、亮平は少々うんざりだった。
「お兄ちゃん、どしたの?」
黙っていると麻友美が首を傾げながら尋ねた。
「なんでもない。」
「あ、また瑠奈と比べてるでしょ?」
麻友美は隼人の妹の瑠奈と高校の同級生だった。高校では非常に仲が良かったらしく、お互いの兄を自慢していたりもしたらしい。
「麻友美は瑠奈には勝てないかもだけど、お兄ちゃんが好きって気持ちめっちゃ強いからね。」
「だったらあんまり困らせんなよ…」
「えー…麻友美がいつ困らせたっていうのー?」
「今現在だよ。連絡もよこさないでいきなり来やがって…」
「サプライズだよー」
亮平は、もういっそのこと綾香に何とかしてもらおうとすら思った。
多少のイザコザは免れないにしても、打ち解ければ女同士、話しも弾むだろう。
綾香…俺もう疲れた…早く来てこいつの相手してやってくれ…
その時
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「亮平ー!来たよ!」
「来た。」
「え?え?彼女来たの?」
「シッ!」
亮平は麻友美を静かにさせ、ドアを開けた。
「遅くなってごめんね。」
「いや、大丈夫だよ。」
照れたように笑う綾香を、亮平は部屋にあげた。
「実はさ…」
「あんた、誰?」
亮平が説明するより先に、綾香は麻友美を見つけ、睨んだ。
うわー…やっぱり修羅場かよ…
麻友美はそんな綾香を余裕で見返し、微笑んだ。
「初めまして。いつもお兄ちゃんがお世話になってます」
続く
「麻友美、ちょっとは落ち着け。」
「お兄ちゃん。麻友美が前来た時に置いてった歯ブラシはー?」
「あ、やべっ…」
亮平は慌てて洗面台から歯ブラシを持ってきた。
「何パニクってんの?」
「こんなんがあったら絶対修羅場だろ」
以前麻友美が遊びに来たとき、歯ブラシを持ってきていた。泊まるつもりだったんだろう。
当然その日のうちに帰ってもらったが、歯ブラシがそのままになっていた。
幸い綾香はそれから遊びに来てないので、問題はなかったが…
「全くお前ってやつは…」
麻友美に歯ブラシを突き返しながら亮平は溜息をついた。
「いいじゃん。妹なんだし。」
ほんとにお気楽だな…
そういう所は麻友美の長所でもあると思ったが、亮平は少々うんざりだった。
「お兄ちゃん、どしたの?」
黙っていると麻友美が首を傾げながら尋ねた。
「なんでもない。」
「あ、また瑠奈と比べてるでしょ?」
麻友美は隼人の妹の瑠奈と高校の同級生だった。高校では非常に仲が良かったらしく、お互いの兄を自慢していたりもしたらしい。
「麻友美は瑠奈には勝てないかもだけど、お兄ちゃんが好きって気持ちめっちゃ強いからね。」
「だったらあんまり困らせんなよ…」
「えー…麻友美がいつ困らせたっていうのー?」
「今現在だよ。連絡もよこさないでいきなり来やがって…」
「サプライズだよー」
亮平は、もういっそのこと綾香に何とかしてもらおうとすら思った。
多少のイザコザは免れないにしても、打ち解ければ女同士、話しも弾むだろう。
綾香…俺もう疲れた…早く来てこいつの相手してやってくれ…
その時
ピンポーン
インターホンが鳴った。
「亮平ー!来たよ!」
「来た。」
「え?え?彼女来たの?」
「シッ!」
亮平は麻友美を静かにさせ、ドアを開けた。
「遅くなってごめんね。」
「いや、大丈夫だよ。」
照れたように笑う綾香を、亮平は部屋にあげた。
「実はさ…」
「あんた、誰?」
亮平が説明するより先に、綾香は麻友美を見つけ、睨んだ。
うわー…やっぱり修羅場かよ…
麻友美はそんな綾香を余裕で見返し、微笑んだ。
「初めまして。いつもお兄ちゃんがお世話になってます」
続く
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