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帰ってくれ 6

[502]  デフレーター  2010-07-05投稿
「まあとにかく…昼飯作るから2人で適当にしゃべっといて。」
亮平はキッチンへ向かった。
「何か野菜あるー?私最近ダイエット中だからサラダ食べたいなー」
「麻友美はチャーハンがいいな!」
「はいはい…ったく…とんだ邪魔が入ったな…」
「お兄ちゃん何か言った?」
「なんでもないです。…2人ともチャーハンとサラダでいいね?」
「野菜たっぷりめでお願い!」
「あと胡椒いっぱいかけて!」
「そこの棚にあるから好きなだけかけろよ。」
人に昼飯を作ってもらってるのにあれこれ注文され、亮平は少々嫌な気分だった。
ともあれ身支度をして手際よく調理を進める。
「ねー麻友美ちゃん。」
「何ですか?綾香さん。」
「敬語じゃなくていいよ。…子供の頃の亮平って、どんな感じだったの?」
「んー…あんまり覚えてない。」
亮平は思わずずっこけた。
「何で覚えてないんだよ…」
「やっぱりー。印象薄かったんだね。今もそうだもん。」
なぜか納得する綾香。
「2人ともひどくない?」
「いいから早くご飯作ってよお兄ちゃん。」
「コンロから目離しちゃだめでしょ。」
「…」
ほんと早く帰ってくれないかな…
「あ、そういえば。」
麻友美が思い出したように口を開く。
「お兄ちゃん子供のころいっつもお父さんとお母さんに怒られてた。」
「マジで?」
「うん。頭悪いからテストで悪い点ばっかしか取れないし、皿割ったり色んなイタズラしてたし…」
やっと思い出したかと思えばマイナスなことばかり。
過去の傷を刔られたようで亮平は泣きたくなった。
「そっかぁ…でも子供のころって大体そんな感じじゃない?」
「麻友美はずっといい子だったんだけどなぁ…」
「自分で言うなよ。」
亮平は麻友美に背を向けながら突っ込んだ。
「少なくともお兄ちゃんよりはいい子でしたよー。」
麻友美は嫌味っぽく言った。
「ほんと仲良しなんだね。」
綾香はその様子を微笑みながら見ていた。
「んー…普通だよ。ケンカもいっぱいするし。」
「でもうらやましいなー…」
「はい、出来たよー。」
亮平は出来上がったサラダとチャーハンをテーブルに並べた。


続く

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