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欲望という名のゲーム?68

[477]  矢口 沙緒  2010-07-21投稿



「ほら、笑った!」
「御免なさいね。
ほんと、ごめん。
雅則兄さんにも謝らなくっちゃね。
でも、あんまりおかしくって…」
そう言いながら、まだ笑う。
「そんなにおかしいかしら?
だって、女の人に髭があるのよ。
あたしの頭じゃ、おかま以外何も浮かばないわ」
「おかまっていうのは、見事な発想ね。
でも、それもちょっと変よ、この場合。
だって、おかまっていうのは、女っぽい男の人のことでしょ。
つまり、そのベースは男なのよ。
女のような男ね。
そういう意味でいうなら、このカードはまるっきり逆だと思わない?
だって、女の人に髭があるんだから。
ベースは女よ。
だから、男のような女ってことよね」
男のような女?
何かが深雪の脳細胞を、少しだけ刺激した。
なんだろう?
どこかでそんな話を聞いたような…
「男みたいな女って、何かなぁ…」
孝子が考えながら、思い付く事をひとつひとつあげていく。
「男装の麗人、勝ち気な女、男まさりの女、男のように働く女、あるいは…」
「分かった!」
深雪が大声を上げて、立ち上がった。
「戦争よ!
男のように戦う女よ!」
そう叫んだ深雪は、孝子を残したまま部屋を飛び出した。

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