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懲役3年 4

[481]  デフレーター  2010-07-21投稿
「ご心配なさらず。ここで刑期を終えた囚人は、皆さん立派に更正されましたよ。」
俺は高嶋を睨んだ。
毎日掃除ばかりして、更正なんて出来るはずがない。
「それから、刑期を終えるまでの間は、一切建物の外に出ることは出来ません。」
「はあ!?」
高嶋は信じられない言葉を口にした。
「散歩とかもだめなのかよ…」
「ええ。もちろんです。3年間この建物の中だけで過ごしてもらいます。」
高嶋は憎らしいほど落ち着いていた。
「あなたの犯した罪は、全て外の世界のしがらみや不条理に汚された心により引き起こされたもの。よって外の世界との関わりを一切遮断すれば、心の汚れは取れ、更正されるのです。」
「バカ言ってんじゃねーよ!」
高嶋のとんでもない理屈に、俺は半ば呆れ果てていた。
「ちょっとは外の空気吸わせるとかしねーのかよ!それこそ気が狂っちまう!」
「今はまだ分からなくても、刑期を過ごすうちに、池田さんにも分かりますよ。」
「うるせぇ!そんな理屈分かりたくもねぇよ!ここから出せ!どっか別の刑務所に入れろ!」
俺は鉄格子を揺さぶって激しく抵抗した。
「それは出来ません。」
高嶋は微笑みながら言った。
「ともかく今日はお疲れでしょう。ゆっくりお休みください。しばらくしたら、食事をお持ち致します。」
「おい!出せよ!こんなとこ居たくねぇんだよ!」
高嶋は去っていった。
静かな牢獄に、俺の叫びだけが虚しくこだまする。
俺はその場に崩れ落ちた。

何もない部屋で
ただひたすら時間が流れていく。
退屈でしょうがない。
いくら刑務所とはいえ
待遇がひど過ぎる。
俺はいつしか
どうやったらここから逃げ出せるか
そればかり考えていた。
こんな場所で3年間過ごすなどもってのほかだ。

それにしても…
他の囚人はどうしたのだろう?
俺が入っているのと同じような部屋が
他にいくつもあるのに
俺以外誰もいない。
みんなここの懲役の内容である「掃除」とやらに駆り出されているのか。
気の毒なものだ。
そんな単調な日々は
俺にはとても耐えられそうにない。

しばらくして、高嶋が盆を持って階段を降りてきた。


続く

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