(ID:67107) - 携帯小説！(スマートフォン版)

「池田さん。最後しっかり頑張ってください。」
「色々教えてくれて、ありがとうございます。」
後輩の囚人も応援してくれる。
「ありがとう…では、始めましょう。」
「はい。」
俺達は気合いを入れて掃除を始めた。

そして夜になり、俺は窓を拭く手を止め、バケツに汲んだ綺麗な水で雑巾を洗い、絞った。
俺の心に最後までこびりついていた汚れが洗い流されていくように、雑巾から汚れた水が落ちる。
絞った後の雑巾は、今の俺の心境を表すかのように綺麗になっていた。
「…無事、終わりました。」
「素晴らしい…」
「綺麗です…とても。」
囚人達も感動のため息を漏らす。
部屋を見に来た高嶋も、満足げに頷いた。
「池田さん。この３年間で、あなたの心はしっかり浄化されました。この部屋のように…」
「はい…自分でも…感じています。」
俺は照れたように微笑んだ。
「今まで本当に、お疲れ様でした。」
高嶋の目に涙が浮かんでいたように見えたのは、気のせいだろうか…

そして出所の日…
「今日は池田さんが３年の刑期を終え、出所されます。皆さんで、お見送りしましょう。…では池田さん、こちらへ。」
「はい…」
俺は鉄格子の扉をくぐり、中を見渡した。
始めは苦痛でしかなかったこの独房だが、今では自分の家のように思える。
今日でこの独房ともお別れ。そして、この刑務所ともお別れなのだ。
そう考えると、とてつもない寂しさが込み上げてきた。

「ここに来て良かったと思います…つまらない理由で犯罪を犯し、絶望しかけていましたが、ここでの経験が私を変えてくれました。だから、これからはここでの経験を存分に活かし、人生を歩んでいきたいと思います。」
「頑張ってください。応援していますよ。」
「ありがとうございます。」
俺と高嶋はがっちりと握手をした。
「池田さーん！頑張ってくださーい！」
「ありがとうございまーす！」
涙をこらえ、見送ってくれる高嶋や囚人達に背を向け、俺は歩きだした。
希望に満ち溢れている未来へ向かって…
俺の心は、とても晴れやかだった。

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懲役３年 １５

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