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欲望という名のゲーム?82

[455]  矢口 沙緒  2010-07-27投稿



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四月十九日\r

朝食を終えた喜久雄と友子は、庭に出てみる事にした。
昨夜のうちに屋敷中にあるスマイル君を調べて回ったが、何の成果も得られない。
初日のビデオテープを何回も再生してみたが、これも無駄だった。
そして友子は、三毛猫が三色の暗示であり、その三色という言葉から連想される三色スミレに、まだこだわっていた。
外はよく晴れていて、日差しが眩しいほどだった。
二人は花畑を横切る車寄せの道の、真ん中あたりに立った。
「ねぇ、あの三色スミレだけどね。
あっちこっちに散らばって咲いてるでしょ。
例えばこんなのどうかしら?」
「こんなのって?」
「子供の頃にやった事があるの。
紙に点がいっぱい書いてあって、その点だけじゃ、何が何だか分からないけど、それを順序通りに線でつないでいくと、動物の絵になったり、文字になったりするの。
そういうの、やった事ない?」
「ああ、あるよ。
漫画の雑誌なんかにも、よくそんなのが載ってたような気がするな」
「中学生の時にも流行った事があったわ。
点を線でつなげると、『好きです』
なんていうふうになってね。
最後にハートマークなんか付けちゃって。
そんなのが面白かったのね、あの頃って」
「それがいったい何なんだ?」
「この三色スミレを点として、それをつなぐと何か文字にならないかって、そう考えたの。
ねぇ、どう思う?」
「まさか、そんな事ないだろ。
こんなにいっぱい点在してるんだぞ。
それに雅則兄さんが死んだのは三ヶ月も前だ。
この宝探しを計画したのは、さらにその三ヶ月以上前。
半年以上も前からそんな計画をしたって、花の方がうまく咲いてくれるとは限らない。
あの性格からしても、そんなあやふやな事は、まずしないだろうな」
「それもそうね。
もしこの三色スミレが点だとしても、どの順序でつないだらいいかは、分からないしね」
友子はどうやら諦めがついたらしい。
「しかし、いい天気だなぁ」
喜久雄は空を眩しそうに見上げた。
「そうね。
それに静か。
ここに来た時は、この静けさが怖かったけど、でも今はとても落ち着いた気分。
なんだか東京に帰るのが、イヤになっちゃいそう」
「なぁ、ダメだよな、僕達」
「何がダメ?」


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