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奈央と出会えたから。<408>

[432]  麻呂  2010-07-28投稿

聖人とあたしがユカの家に招待されたのは、


森宮親子が消息不明となってすぐの事だった。


そして、


教育長さんが、教育長を辞任したと知ったのも、


その数日前、


新聞の片隅の小さな記事として取り上げられたからだった。


『やぁ。聖人君に木下さん。

いつも、うちのわがまま娘がお世話になってます。』



ユカのお父さんは、一流企業の役員だ。

あたしも、今日初めて会うんだケド、


第一印象は――


なんか、


いかにもインテリっぽいカンジ。



『お久しぶりっス!!

オジサン。』



『初めまして。

木下 奈央です。

あ‥あたしこそ‥‥いつもユカにお世話になってましてっっ。』



聖人は、ユカと幼なじみで、


つい最近までは、ご近所同士だったワケで。



『なぁに、奈央ったら。緊張しなくていいよォ!!

今日は、お父さんの自慢の手料理の数々を、お2人に御堪能して頂きたいと思いまぁ〜すっっ!!』


テーブルの上には、高価そうな食器に綺麗に盛り付けられたお料理。


ワイングラスの代わりにジュースのグラス。


まるで高級レストランみたいに、


綺麗にテーブルにセッティングされたナイフとフォーク。



『すげぇ〜!!

美味そ〜!!』



『ま‥聖人ったら!!』



広いお部屋に案内された瞬間から、


何もかもが、驚きの連続だった。


ユカのお家が、お金持ちだってコトは分かっていたケド、


これほどまでとは思ってなかったんだ。

お料理は、とても美味しくて、美味しくて、


ほっぺが落ちそうだった。



『ところで聖人君。
体の方は大丈夫なのかい?!』



ユカのお父さんの言葉に、


あたしはドキリとした。



あたしよりも早く、聖人に出会い、


聖人の小さな頃から知っている筈だからだ。



『あぁ。全然大丈夫っスよ。』



そう言うだろうとは思ったケド、


あたしも、


聖人には、もっと体を大切にしてほしいっていつも思ってる。



聖人の言葉に小さくうなずき、


ワイングラスを手に持つと、


ユカのお父さんは、静かに語り始めた。

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