欲望という名のゲーム?90
「このテープの中で一番重要な点は、あのスマイル君の存在について語った事だろう。
そう、あれこそ、この入り組んだ迷路の入り口を示す大事な手掛かりなのだよ。
あれを無視すれば、私の偽の手掛かりに翻弄されるだけだ。
さて、これで四本のテープを検討し、そしてヒントをざっとまとめてみたわけだが、最後に最終的な混乱を避けるために、一言だけ付け加えておこう。
『白のプレイヤーは、
知識の宝庫を背に
すべし 』
では、諸君。
今夜はこの辺にしておこう。
次に諸君達と会うのは、別れの挨拶の日となる。
それまで私は沈黙を守ろう。
これで私の手番はおしまいだからね。
諸君達の誰かが、次の二手で私をチェックメイトにすることを、心から望んでいるよ。
もし残りの二日間で私をチェックメイトに出来なければ、今度は逆に諸君達が詰んでしまうことになる。
どちらにしろ、ゲームセットの時は、もうそこまで来ているのだよ。
勝利の女神が諸君達に微笑むか?
あるいは天国まで出張してきて、私に微笑むか?
楽しみに待っていよう。
では、お休み。
人生のうちで、最も大切な二日間を迎えようとしている諸君達へ」
無意味となったテレビ画面を見詰めながら、明彦が首をかしげた。
「おい、兄貴は妙な事を言ったぞ」
「そうね」
深雪も不思議そうな顔をしている。
「『次の二手でチェックメイト』
とは、どういう意味だ?
普通なら
『次の一手』
と言うはずじゃないか?」
「あと二日ってことじゃないの」
孝子が答えた。
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