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深海魚

[566]  となりのトトりん  2010-08-09投稿
北側の小さな窓が
僅かに陽射しを集め始める午前5時に

私は幸せな夢を見るのです

互いの意思が
元通りに通じ
解り合えることができても

目を覚ませば
それは現実ではないことに気付くのです


その度に
落ちて
落ちて


このまま目を覚まさなければ
気付くこともなかったのにと


私は
落ちて
落ちて

また暗い海の底で
深海魚のように
身を沈めるのです

まるで
その異形な姿でしか
呼気をとれぬように

静かに
暗い海の底で息を潜めるのです

もしも
この姿を維持できぬのなら

この暗い海の底で
窒息してしまうから

私はまた
取り繕うように
姿を変えて

貴女の帰りを待ち続けるのです


例え
二度と気付いて貰えなくても

私はまた
忘れぬように息を潜めて
貴女の帰りを待ち続けるのです


例え
二度と愛されなくても

例え
貴女が私の姿に
気付けなくても

私はこの暗い海の底で
醜い姿を曝し
待ち続けるのです

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