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欲望という名のゲーム?102

[551]  矢口 沙緒  2010-08-13投稿



五人はワイン貯蔵庫の中を歩き回った。
こうして特定の一本を探すのは、それほど手間のかかる作業ではなかった。
ワインはその産地別に、見事に分類されていたからだ。
そして、ついに問題のワインを見つけた。
シャトー・ムートン1982年。
ラベルには得体の知れない絵が書いてある。
「ねぇ、これ封を切ったあとがあるわよ。
ほら、ここのところがこんなになってる」
孝子がボトルの首の周りについている封を示す。
「このままじゃ中がわからん。
コルクを抜くぞ」
明彦は持参したコルク抜きで、慣れない手付きでコルクを抜いた。
「よし、開いた。
この中に、白のクイーンがあるかどうかだ。
深雪、牧野から借りてきた料理用のボールをこっちにくれ。
これに中身を移してみる」
トクトクと小さな音を立てて、深紅色のワインがボールに移される。
四人はそれを、息を殺して見守った。
ほとんどのワインがボールに移されても、ほかには何も出てこない。
ダメか!
そう思い始めた時、最後に何か小さい物が、ワインボトルの口から飛び出した。
それがポチャリと音を立てて、ボール一杯のワインの中に沈んでいった。
それを慌てて喜久雄が取り上げた。
紛れもなく、小さな白の水晶のクイーンだった。
「ついに来たぞ!
俺達はここまで、ついに来た。
もう少しだ。
ニ百八十億は、もうすぐだ」
明彦は自分が正しかったと確信した。
一人ではダメだが、五人なら必ず解ける。
雅則の罠をかいくぐり、きっと最終目的地に到達できるはずだ。


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