携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 君と見た空*7の1

君と見た空*7の1

[409]  玲唯  2010-09-01投稿


07.部屋


私とアオトは並んで道を歩いている。


アオトが家まで送るって言ってくれた。


泣き止んだばかりの私は、鼻をすすりながらゆっくりとした足取りで歩く。


アオトは何も言わずに私のペースに合わせてくれている。


気持ちも少し落ち着いた。


多分、アオトが一緒にいてくれたからだと思う。


あのまま1人でいたら、ずっと泣きっぱなしだっただろーなあ。


思ってみれば、こうしてアオトといるのは久しぶりだ。


落ち着くなあ、やっぱり。


そーいえば、アオト何があったのかって聞いてこないけど、言った方がいいのかな。


「あ、私の家ここ」

「……もう平気?」


その言葉に、私は小さく頷いた。


するとアオトは、よかったって言って笑った。


久しぶりに見た。


こっちを温かくさせるような、アオトの笑顔。


「よ、よかったら寄ってく? 話したいことあるしさ」

「いいの?」

「うん」


やっぱりアオトには話しておかなきゃね。


聞いてこないだけで、絶対疑問に思ってるだろうし。


私たちはアパートの階段を上り始めた。


「アオト、私ね……失恋しちゃった」


部屋に入ってベッドに座ると、私は話し始めた。


アオトは私の隣に座って、黙って話しを聞いている。


「今日、その人に誘われたんだ。その人の友達も一緒だったんだけど」

「うん」

「それでね、その人に彼女がいるって知って……。その人と彼女が話してるの隠れて聞いちゃってね」

「うん」

「そこでその人、私のこと……付き合ったらめんどくさそうって。あんなやつ嫌だ、って」


結城くんの言葉が、結城くんの声が蘇って、また涙が溢れた。


私は途切れ途切れになりながらも話を続けた。


「私、が……今日誘われた、のは……友達に誰か紹介してって、言われたから、だって。だから、私───」


いきなりアオトが私を抱きしめた。


あの時とは違って、強引で強い。


「……アオト?」

「もういい」

「え?」

「そんな奴のことなんか、忘れなよ」


そう言うとアオトは、さらにきつく抱きしめる。


「アオト、苦しい……」


私が言うと、アオトは私の両肩に触れてゆっくり体を離した。


感想

感想はありません。

「 玲唯 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス