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ロストクロニクル 10―12

[347]  五十嵐時  2010-09-04投稿
タクト達四人は、城から遠く離れたどこかもわからない場所へ逃げ続けていた。
「ごめん、ちょっと待って」
パールが苦しそうにしゃがみ込んだ。
「どうした、大丈夫か?」
「うん・・・平気」
パールは全身から異常なまでの汗をかいていた。
「ごめん・・・先行ってて、あとで・・・」
そこまで言うとパールはバタリと倒れてしまった。
「どうしたんですか!」
「とにかく、急ぐぞ!」
ウェドはパールを担ぎ、走り始めた。
走り始めるとすぐに民家の前にいる四人の人影を見つけた。
「シャープ!」
フラットはシャープの元へ駆け寄った。
「親父!」
ウェドはパットの元へ駆け寄っていった。
タクトはこの状況が全く理解できなかった。

タクト、ウェド、フラット、シャープ、チェロ五人の今までのお互いの経緯を話し合い、なんとか状況を理解することができた。
「パットさんは、応急処置を施しましたが、もう少し休養が必要だと思います。・・・このドローという少年はたった今、R11との戦闘で・・・亡くなりました」
シャープは涙を流すこともできなかった。
「シャープ、君のせいじゃない」
シャープはそんなタクトの言葉も聞こえず、ただ一点を呆然と見つめていた。
「こっちもパールが動けない、今は動かない方がいいと思う」

五人はドローを埋葬し、民家の中へ入り、明日の朝まで待つことにした。
「あの、タクトさん」
シャープがタクトにひとつの小瓶を手渡した。
タクトにはそれが何かすぐに理解できた。
タクトは小瓶の中の液体をパールの口の中へ流し込んだ。

「今夜ね」
「楽しみだぜ」
「今宵の満月は、綺麗だねぇ〜」
闇夜に佇む三人の影
「もう私たちの脅威となるものは何ひとつないわ。これは戦争ではなく、ただ、残りの反逆因子を「駆除」するだけのこと。それに、パラスの兵士でさえ私達の味方」
口元を緩ませ笑みを浮かべた。
「パラスの国王も俺達には敵わないとやっとわかったんだな」
「さぁ、始めようじゃないか」

「あの、タクトさん」
チェロだ。
「チェロ王女!何かご入り用でしょうか」
「そんなお堅い態度はお止め下さい。私達は仲間でしょう?・・・これを」
チェロはタクトに木彫りの不死鳥の欠片を手渡した。
「これは!」
「これが最後の欠片です」

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