−−空に2
「ありがと」
そう言ってクロエは肩で揃えた茶色がかった髪を揺らし顔を背けた。
僕とクロエは知り合ってまだ一週間と少し。だから、彼女のこんな表情は初めて見た。
「ねぇ、ソラ! 私のテク、どうだった!?」
「いいんじゃないか? ただ、暴走しかけたのには胆を冷やしたが」
「あれは、私のせいじゃないわ。『スカイ』が勝手に暴走したんだもの」
「はいはい。僕の調整ミスが原因ですよ」
僕はものごころがついた頃から『スカイ』に携わってきた。それは両親が有名な整備士だということも関わっているが、一番の理由として、僕には整備士の才能があったからだ。
「でも、ソラは学校にも行かず、十三年間も整備士として働いていたのでしょ?」
「ああ、そうだよ」
「じゃあ、ミスするなんてめずらしいわね」
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