携帯小説!(スマートフォン版)

幸せ

[534]  yocchi  2010-09-20投稿

『ねぇ、おじちゃんは何でそんなにやさしいの?』

小さな女の子がききました。

おじちゃんは答えます。

『昔ばなしをしてあげよう。』

1つ以外は普通の家族がありました。

お父さんとお母さんと僕と犬、たまに猫も遊びに来てた。

みんな仲良し、犬と猫も。

僕が家より大きな事以外は、普通の。

家は森の奥深くにあった。

家族以外はだれもいない。

僕は幸せだった。

お父さんとお母さんが天国へいってしまうまでは。

僕はどうしたらいいか解らず、町へ出たんだ。

みんなが僕を怖がった。

違うと言った。

石を投げられた。

捕まり、売られ、戦わされた。

僕は強かった、誰にも負けなかった。

僕はわるい事だけはした事がないと思っていたし、お母さんとの約束だったから。

でも違ったんだ、

『やらされているんだ。
仕方ない、僕のせいじゃない。』

いっぱい人を傷つけてしまった。

逃げだした。

その後は
山から雲に飛び乗ろうとしてみたり、
海でクジラと競争したり、
色々あった。

つらい思いをいっぱいしたし、楽しい思いもいっぱいした。

でも、幸せは見つからなかったんだ。

そして、何年かたって家にかえった。

犬と猫に話をした。

そうしたら、犬と猫が僕に言ったんだ。

『きみがかえってきて、僕ら幸せだよ?』

僕は幸せだった。

見つけるものではなかった。

そこにあるものだった。

いつも、いつでも持っているものだった。

『昔ばなしは、これでおしまい。』

ちっちゃい女の子は、また言います。

『だから、おじちゃんは何でやさしいの?』

おじちゃんは答えます。

『今、幸せかい?』

『うん、幸せよ?』

それは、とても遠くてとても近い国のお話。

感想

感想はありません。

「 yocchi 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス