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子供のセカイ。207

[412]  アンヌ  2010-09-27投稿
もう一つ。想像物は、その想像物を考えた子供が、“真セカイ”で“子供のセカイ”への扉を開ける事で、“真セカイ”へ行くことができる。
しかしそれでは、舞子が連れていきたいと思った想像物を連れていけないし、何より、そういう形で“真セカイ”に現れる想像物は、どうしても“子供のセカイ”にいる通常の状態より弱くなってしまうのだ。
ジーナが楽観的思考の人物であれば、ひょっとしたら舞子は、犠牲なしに姉や幼なじみの少年と共に“真セカイ”に帰るために、わざわざ道を拓いたのかもしれないと考えただろう。しかし生憎、ジーナは騎士だ。敵の戦略を見破り、未然に被害を防ぐことを最優先に考えるような頭を持っている。
ジーナは、騎士の頭で考えた。
(舞子の後ろ盾になっている、もしくは操っていると言っても過言ではない存在の覇王。“子供のセカイ”を支配するように舞子に勧めたのが彼だとすれば、その異常なまでの野心もまた、見えてくる。)
(強制労働施設に集められた強者達。ラドラスが支配者に協力すると言った以上、他の囚人達にも似た考えを持った者がいてもおかしくない。彼らが惹きつけられるほどの、支配者達が用意した「見返り」。それが何かはわからないが、誰もがそれを欲し、さらにもし従うことで明らかに手に入るものであれば、私には、一つしか思い付くものはない。)
そして、昨日ハントが、自嘲した笑いを含んで言い放った言葉。
『舞子様はまだ幼い。どんな事態になりつつあるのか、全くもってわかっておられねぇ。』
それらの情報から総合して、導き出される結論。それは――。
「支配者は、軍勢を率いて“真のセカイ”に攻め入ろうとしているのか…!?」
ジーナが驚愕したように放った一言に、王子は小さく肩を震わせた。恐らく、それとなく気づいてはいたのだろう。しかしあまりにもはっきりと指摘され、動揺が滲み出たようだった。
ラドラスは組んだ足に肘をつき、顎を支えながら、楽しそうに言った。
「そう、それも正解。お前らいいよ。話が早くて助かる。」
「何故そんなことを…!支配者は自分の故郷に恨みでも持っているのか?」
ジーナには理解できなかった。舞子の姉である、美香のことが頭に浮かび、苦々しく唇を噛み締める。美香がこれを知ったらどう思うだろう。必死に守ろうとしている妹が、自分の世界を壊そうとしていることを知ったら……。

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