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星空が見たい 第1話?

[333]  橘 志歩  2010-10-28投稿


第1話 こころ ?


「ところで、あなたはどんな方なんですか?見たところ、学生さんに見えますが?」

教師は、名前を名乗らぬまま、私に聞いた。

「高校。家は、私もすぐ近く。」

私は、なるべく情報を流さないように心がけた。

それは、パパも中学教師をやっていたからだ。

この近くには、中学校は二つしかない。

必ずしも、住んでいる場所の近くに出勤するわけではないが、

念には念を入れた。

しかし、何より、パパと同じ職業だという事に戸惑った。


そんな事には気にもとめず、こいつは、天然なのかボケなのか、かまわず話し掛けてきた。

「将来の夢とかって、あるんですか?

あぁ、でも。中高生に聞いても、シラけるだけですねぇ。」

彼は頭をかきながらそう言うと、勝手に私の隣に座り、そして勝手に私のお茶を飲んだ。

誰が了承した。

でも不思議と、嫌ではなかった。

「星がキレイですねぇ。」
36才、男性。

ちょっと図々しいっつうか、何つうか。


「あなたは、何故こんな所にお一人で?」

「別に。」

突然、質問をされて、今までよりも、冷たく返事をした。

ちょっと、まずかったかなと思って、教師を見た。

「そうですか。」

教師は、何事もなかったかのように笑って言った。

その笑顔が、たまらなく懐かしくさせた。


「夜空が、キレイですねぇ。」

優しい微笑みは、夜空に向けられた。

さっきまで、イヤミな感じがイライラしたのに、何だか心地がいいような気がする。

「結構、いいもんですね。」

「何が?」

彼には、何だか惹かれるものでもあるのだれうか?

「ピチピチの女子高生とこうやって並ぶって言うのも。」

前言撤回だ。

こいつはただの、変態教師である。

「どけ!!私は帰る!!」

言うまでもなく、私はさっさと片付けて帰った。



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