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子供のセカイ。217

[405]  アンヌ  2010-11-16投稿
「させないさ。俺とミルバで邪魔して、計画を中断させてやろーぜ。そしたら時間的にも、もう少し余裕ができるし。」
「いや、それは私達の役目じゃない。ハント達、治安部隊に任せよう。」
思いがけない名前を聞き、美香はふ、と顔を上げた。
「治安部隊…?あの、変な格好をして叫んでた人達?」
「あんなのただの変人だろ。それに味方だと思わせて、師匠と王子を捕まえたのだって奴らだ。仲間になれるわけねえし。」
冷めた子供達の意見に、ミルバは思わず吹き出した。
「ひどい言われ様だな。一応あれでも、元は私の部下なんだが。」
「そうなの?」
好奇心の湧いた目でこちらを見てくる二人に一瞥をくれると、ミルバは不意に押し黙った。美香は訝しく思い眉を寄せる。ミルバの横顔は玲瓏としていたが、どこか深い疲労の色が沈んでいた。
「……まあ、そのことについては、今はいい。まだ彼らが完全に味方につくかどうか、定かではないからね。」
耕太は腕組みをして首をひねった。
「覇王の味方につくか、お前の味方につくか、迷ってるってことか?」
「ああ、そんなところかな。」
何か、はぐらかされたような気がする。美香は浮かんでくる疑念を消せなかったが、頭を振って気を取り直した。ミルバが情報を小出しにするのは、いつものことだ。子供だからと侮られているのか、本当に本人が迷っているからなのかわからないが。
ミルバはソファから立ち上がると、「ごちそうさま」と、美香の前に湯呑みを置いた。
それから表情を改めると、二人を睨むように見つめた。
「とにかく、治安部隊のことを抜きにして考えても、舞子を止められるチャンスはあと五日しかないってことだ。それを肝に銘じて、それぞれ日を送ってほしい。」
耕太はどさっとソファに俯せに倒れ込むと、「って言われてもなあ……」と情けない声を出した。
「城に侵入する方法、全然思いつかないんだけど。ミルバ、何かヒントとかねーの?」
「まず、城の近くには行ってみたのか?」
美香と耕太はばつの悪い顔を見合わせた。二人共昨夜は疲れきっていたので、今日一日の大半を寝て過ごしてしまったのだった。
ミルバは大人のような仕草で、やれやれと肩を落とした。
「明日には一度行ってみた方がいい。もちろん、ばれないように細心の注意を払わなければならないけどね。」

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