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続いた世界のある結末(5)

[374]  若瀬祥  2010-11-25投稿

沈黙が辺りを包んだ頃、翅は言った。

「君はさ、生きたいように生きればいいよ」


「何で…そんなこと言うの…」

言わないで。僕は

「君も私もここ数年、必死に呪いを解くためにあちこち旅をしてきたよね」

翅さんは遠くを見ている。夕日が沈みかける暗い山を。

「きっと駄目なんだよね。方法なんてないんだ。…世界はさ、私達の為にある訳じゃないんだよ」


「…諦めるっていってるのか」

「…うん。だからさ」

もうその先は聞きたくなかった。

「会ってない術師なんて何千といる! 可能性はないわけじゃない!…どうして、どうして今そんなこと言うんだ…」


「君が好きだから」

呼吸をするようにゆっくりと彼女は言った。

「翅」

そして泣きそうな顔をした。寒いのか体を擦っている。

「苦しませたくない。このまま私の心が死ぬまで苦しんで、体が死ぬまで私の面倒を看させて。」


「そんなの…悲しすぎるでしょ」



「君と一緒にいても、君が君だと分からない…。君が私の亡骸を慈しんでも、それは私じゃない!もうそこに私はいないの…」

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