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天使か悪魔か【1】

[534]  2010-12-05投稿
真っ白の純情な天使と真っ黒の粗悪な悪魔が戦争を起こす。ここは学校。
入れるのは天使・悪魔のみ。

そんな所に迷い込んだ女の子。
透いた灰色の羽、純粋な瞳。
それが柏木 優。
彼女は、天使と悪魔のハーフ。
この学校をトップで卒業したAngel『高見マリア』が母親。
最下位で卒業したDevil『柏木乙夜』が父親。

天使と悪魔は恋愛をしてはいけないのが学校の掟。
二人はそれを知っていながら誰にも見つからずに恋愛をしていた。
無論、天使と悪魔は結婚もしてはならなかったのだ。
世間に見つからぬ様に交際を続け、優が生まれた時、二人は神に祈った。
『この子は優しくて思いやりのある、この世で初めての天使と悪魔の子。神様よ、どうか私どもの代わりにこの子に幸福をお与えて下さいまし』と。
そして二人は優に十字架のネックレスをつけ、槍で胸を突き刺して息を引き取ったらしい。
教会に置かれた優はいずれシスターが見つけ、すくすくと育った。
優は、この学校に入学したいと言いだした。
初めて希望を伝えてくれて、シスターはとっても嬉しかった。
そこで、シスターは学園長に事情を伝えて何度も頭を下げに行った。
シスターの思いが学園長に届くには時間がかかったが、ようやく優は学校に入学できた。
憧れの学校に入れて喜びを抑え切れない優をクラスは受け入れず、優は明らかに孤立していた。
天使と悪魔が戦争をする中、優は端で泣いていた。
「柏木さんの羽さ、汚い色してるよねー。なんでここ来たんだろー」
「ねー。話し掛けてもこないし。しゃべれないとかぁ?」
「そりゃないよーあはは」


何も聞こえない。
耳を塞ぐ日々。
優のことを気にする人なんていなかった。
泣くことしか知らない。笑ったこともない。ただ無表情の女の子。
この学校は全寮制なので、唯一の信頼できるシスターとも会えない。

優は毎日、教室で一人で魔法の練習をした。
だからこそ、学年トップになれた。

優の気持ちは少し晴れたのだった…。

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