携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> Kiss me!*8

Kiss me!*8

[475]  玲唯  2010-12-09投稿


 翌日、家を出て十字路へ向かうとケイタが塀に背中をつけて立っていた。


 私は自然にケイタの前を通り過ぎる。


 するとケイタは小走りで私の横にくると並んで歩き出した。


「おはよ、ユキ」

「……おはよ」

「今日いつもと髪型違うね。俺のために気合い入れた?」

「違う!」


 確かに今日はいつもと髪型違う。


 いつもは髪を下ろしてるけど、今日はハーフアップにして毛先を巻いてみた。


 けどこれは気分。本当に気分。


 あんたのためじゃないし。


「いつものもいいけど、今日のも可愛いね」


 そう言われて、ちょっとドキッときた。


 正直、嬉しい。


 うわ。何、私!


 こいつは私のファーストキスを奪った奴なんだよ?!


 どうせそんな言葉、他の子にも言ってるに違いないんだから!


 その時、前の方にマサトの姿を見つけた。


 私は走ってマサトの方へ向かい、背中を強く叩いてやった。


「痛っ! 何だよ、ユキ!」

「何であいつに、私のアドとケー番教えたの?!」

「別にいいだろー。無断で教えたことは謝るけど」


 これ以上攻めてもしょーがないなあ。


 私が大きなため息をすると、ケイタがやってきて話に加わろうとする。


「何の話?」

「何でもない」

「あ、ケイタ! 何で昨日掃除当番さぼったんだよ?!」

「ユキと帰りたかったから」

「あのなあ。ユキからも何とか言ってくれよ……。って、いねえし」


 マサトがケイタに話み振ったことをいいことに、私は2人をおいて学校へ向かっていた。


 ケイタとはなるべく関わりたくない。


───『いつものもいいけど、今日のも可愛いね』


 思い出して、顔が赤くなったような感じがした。


 どうした、私。


 ただ今まで言われたことないから、免疫ないだけかな。


 うん。そうだよね。そうに決まってる。


 私は自分にそう言い聞かせて校門をくぐった。


感想

感想はありません。

「 玲唯 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス