携帯小説!(スマートフォン版)

右手に風船

[431] アイ 2011-01-10投稿
風船を膨らますように

あたしは日常を膨らます

そこにはいろんな溜め息という名の空気が

押し込められているのでしょう

色とりどりのまあるい玉

ころころ、ころころ転がって

あたしの心の坂道を

雪崩のように駆け下ってあふれだす

喜び憂い、怒りや哀しみ、郷愁と慈しみ

そして

淋しさ

どれだけ様々な感情があふれても

どれだけたくさんの色の風船が生まれても

一人になった途端にじわりと染み出す孤独には

抗いようがないのです

あたしは今日も風船を膨らませて

誰か来ないかしら

素敵な風船をプレゼントに待っているのだけど

そんな風に、ただただ青いばかりの空を見つめて

時折ふっと微笑んだり

ほんのちょっぴり涙を零したりしながら

一番赤い風船の紐を、風に揺らせて佇んでいるのでした。

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