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Kiss me!*13

[431] 玲唯 2011-01-13投稿


「今日は楽しかったね!」


 楽しかったのはナナミたちでしょ……もう。


 なんか疲れが増したような気がする。


「じゃ、私たちこっちだから」

「あ、うん。じゃーね」


 分かれ道でナナミとマサトが歩いてく。


 2人の後ろ姿を見送ったあと、私は2人とは別な道を歩き出した。


「今日、楽しかったね」


 そういえば、ケイタと帰り道一緒だった。


 ナナミと同じこと言わないでよ。


 心の中でそう毒つく。


「ユキは楽しくなかった?」


 返事を返さない私に、ケイタは顔を覗き込むようにして聞く。


「うん、全然。ってか、ナナミとマサトがいて気まずくなかった? それなのに楽しめるって凄いね」


 ちょっと皮肉っぽく言ってみる。


「ユキがいたから楽しかったよ」


 何、言ってるんだろ、この人。


 サラッと言うから、一瞬ドキッてしちゃったじゃん!


 顔に出しちゃダメ、顔に出しちゃダメ。


 こんな奴にときめいちゃダメなんだから!


「何言ってんの。バカ?」

「えー、ひどーい」


「酷くないでしょ」


 私は鼻で笑った。


「あ、そーだ! ユキにプレゼントあげる」

「え?」


 ケイタは持っていた小さな紙袋を私に差し出す。


 その紙袋には最初に立ち寄ったあのアクセサリーショップの名前がかかれていた。


「開けてみて」


 促されて、私は紙袋から細長い箱を取り出してふたを開けた。


 中に入っていたのは、私があの時見ていたネックレスだった。


 私はそれを見ると、すぐにふたを閉めて紙袋と一緒にケイタに突き出す。


「う、受け取れない」


 ケイタから貰うわけにはいかない。


 ケイタから貰いたくなかった。


「いや、貰って! 俺の気持ちだから」


 ケイタはそう言って紙袋と箱を押し返す。


 私がこれ欲しそうにしてたの見てたのかな。


 でも何だろ……嬉しい。


「……ありがと」

「絶対似合うと思うよ」


 少し、ケイタを許せるよーな気がした。


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