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ディフェンド

[425]  2011-01-16投稿


序章


 雨の中、小さな少年は歩き続けていた。


 傘もささずに、ボロボロの服で。


 もう何日もまともなものを食べていなく、少年の体力は限界だった。


───「ケイゴ、お腹空いたでしょう? ご飯にしましょう」


 お腹が空く時間帯になると、母はそう優しく声をかけてくれた。


 でも、今は母はいない。


 父もなく、帰る家もない。


「とう、さん……かあさん……」


 朦朧とする意識の中で、少年はそう呟くとその場に倒れ込んだ。


 冷たい雨が、少年の小さな体を打ちつける。


(このまま、死ぬんだ……)


 目を閉じながら、少年はそう思った。


 でもそれでいい。


 これで父と母のもとに行けるのだから。


「おい、坊主」


 頭の上から、そんな言葉を投げかけられた。


 女の声、だろうか。


「立て」


 立てる力なんて、少年には残っていない。


 するとその声の主は小さく舌打ちをして、少年を抱きかかえた。


(母さん?)


 その時の手の温もりが、母のものとよく似ていた。


「死ぬなよ、坊主」

「……かあ、さ、ん───」


 呟いて、少年の意識は途切れた。



─────

前にディフェンドを
書いていた梓です

今回
ディフェンドを
リメイクしたくて
また投稿しました

前作のディフェンドも 読んでいただけると
嬉しいです


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