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世界でたった一つの物語(幸せの基準)

[733] 桃子 2011-01-25投稿
あっ・・・・・

変わり果てた姿は
昔の面影は薄れてたが
張りのある声は
心が忘れていなかった


「足元に気をつけてお通り下さい」

刑務所から出てきたと
噂で聞いていたが

彼の華やかな頃を
知ってる私は
彼の警備員姿に
彼と声を聞くまで
気がつかなかった…


彼は私に
気がついてるかは
わからない

与えられた
歩行者誘導の仕事を
一生懸命
声を出し働いている


あれから五年

サンシャインから
東京の街を
眼下に見下ろしたあの頃


罪が確定した日
彼は笑って言った



まっ人生は
良いときもあれば
悪い時もあり
結局は一緒や

俺は良いときが
良すぎたから
しばらく刑務所で
ゆっくり時間を
噛みしめるわ!

桃子(私)は
まだ若いやから
前科モンとは縁切って
別な人生を歩め



今の私と比べて
彼と贅沢を尽くした
あの頃は懐かしくは
思うが

幸せだったかは
わからないが
楽しかったとは
言い切れる



私はもう一度
彼に会いたくて
彼が警備に着いている
工場現場に戻る


工場現場前を通ると
彼は元気に促す

「足元に気をつけてお通り下さい」
そして私にしか聞こえないような声で呟いた
「…桃子さん…


私は驚いて
彼の顔を見詰める


肌がカサカサで
現場焼した笑顔は
お金に満ち溢れた
あの頃とは違った

幸せな充実感のある
笑顔があった


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