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Kiss me!*22

[370] 玲唯 2011-02-26投稿


「何か最近静かだよねえ」

「そお?」


 ナナミはお弁当を食べながらそう呟いた。


「ケイタくん、全然顔出さないからさあ」


 確かにここ最近、ケイタは私たちの教室に来ることや話すことがなくなった。


 天野さんはケイタに告るために、自分をアピールしてる真っ最中なんだと思う。


 まあでも、私にとっては好都合なんだ。


 登下校はやっと一人で帰れるし、昼休みは静かに過ごせるし。


 うるさい人がいなくなってくれて、よかった。


 うん、よかった。


「ユキ、寂しいんじゃない? ケイタくん来なくて」

「そ、そんなわけないでしょ! 別に寂しくないし」


 寂しくないけど、胸がきゅうって締めつけられるんだ。


 何でなんだろう。


 *


 放課後、私は一人玄関に向かっていた。


 あの2人の姿を見ないうちに帰ろう。


 そう思いながら靴をはきかえようとした。


「あ、ユキじゃん!」


 突然後ろから声が聞こえてきて、私はびっくりして振り向いた。


 そこにいたのは、ケイタだった。


 会いたくなかったのに。


 でも天野さんの姿がなかったから、少しはましだった。


「何かユキに会ったの久々だね」


 そう言いながらケイタはにっこり笑った。


 その笑顔を見た瞬間、私の心臓が小さく跳ねる。


 何だか、目が合わせられない。


「あ、福崎くんいた!」


 パタパタと足音が聞こえてきかと思うと、現れたのは天野さんだった。


 天野さんは私を見ると少し固まって、それからケイタの方を見た。


「福崎くん、一緒に帰ろ?」


 天野さんの言葉を聞いて、私はすぐに思った。


 ここに居ちゃいけない。立ち去らなくちゃ。


「ちょっとユキ! 待ってよ!」


 早足で玄関を出て行く私をケイタが追いかけてきた。


 そして校庭に入るとこに来たとき、私は腕を掴まれた。


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