カッパの恋愛論
「カッパってさ、
草食系なのかな?」
晴れた帰り道、
高校生の君と僕。
「ゴミを捨てないで」という
看板に描かれたカッパは
今にも動きだしそうだ。
「あぁ…ぽいよね。」
「私はさ、男子って
分かってないと思う!」
そう言いながら腕を組み、
君は、すれ違ったおばさんに
「こんにちは」と言った。
「俺も分かってないの?」
「今の世の中の男子、
絶対ダメ!絶対腐ってる!」
男を完全否定ですか。
「なんで?」
知らないフリをしておこう。
「だって、草食系男子とか…。
女子が待ってんのに
男子も待つ側って何!?」
頭の悪いフリをしておこう。
「…いろいろ、
あるんじゃないですか?」
「いーや、絶対に勘違いだよ!
それにさ、優しくて
ちょっと強引なくらいが
モテると思わない?」
誰か私をみつけろー!
君は空に向かってそう叫んだ。
「…勘違いだよ。」
そうつぶやいたら、
振り向いた君と
目が合ってハッとした。
思わず、
カッパの看板を指差した。
「あ…の…カッパはさ、
草食っぽいけど
あれ、実はカモフラージュ。」
「カモフラージュ?」
頷くと、君は
きょとんとした。
「体が緑色なのも
カモフラージュで
本当は赤いのかもよ?
真っ赤。」
だから…
「草食系男子も、
待ってるんじゃないかな。
肉食系になる瞬間ってやつ?」
君は、少し笑って
「じゃあ、もうちょっと
私も待ってみようかな」
と言ったけど
もう僕は、カモフラージュを
隠しきれなくなったみたいだ。
「好き。」
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