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おにいちゃん、これおしえて?

[512] misato 2011-03-29投稿
Part one #出会い#


校庭を薄い桃色で彩っていた桜は、もう既になくなり、夏らしい緑の葉へと変わっていた。

――あの子と出会ったのも、このくらいの季節だったなぁ。

10年前の懐かしい記憶を脳内で再生し――――

「初音ッ!」

「えひゃあっ?!」

―――ようとしたら、その途中、わたしは突然響いた声によって現実へと引き戻された。

声のした方をみると、そこにはいつも通り黒い髪を二つに結っている、親友の奉咲明花がいた。

「もぉ、驚かせないでよ〜」

「……よくそんな暢気なことが言ってられるね」

呆れた口調で言う明花。

――暢気なこと?

「その顔じゃあ……何が暢気なことなのか、まぁ〜ったく判ってないみたいだね」

「うん」

わたしは正直に答えた。嘘をつくのは苦手だからね……。

「に・っ・ちょ・く!今日、初音の番だよね?」

日直?

「え、今日は日田さんじゃ――――」

そう、今日の日直は日田さん――クラスメート――のはずで、わたしじゃない。

「初音……アンタ昨日休んだでしょ?日田が代わりにやってくれたのっ」

――あ!そうだった!

昨日わたしは、熱でダウンしてた……。

って……

「左藤先に殴られるぅぅううう!」

ただでさえ、わたしは左藤先生に目をつけられているというのにっ……!

「職員室。行ってらっしゃ〜い♪」

明花が笑顔で手を振ってくる。

わざとか!!


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