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おにいちゃん、これおしえて?

[612] misato 2011-03-29投稿
「…………あぁ〜、いったぁーい」


わたしは頬を擦りつつ、職員室から出た。


「左藤先生の意地悪ぅ〜」


わたしの頬は今現在、赤く腫れている。


担任の左藤先生は、少し気に入らない事があると、すぐ殴る。


でも、左藤先生曰く、加減されていて……本気を出されるのを怖がって、誰も何も言えない。


左藤先生に殴られ慣れたせいか、他の先生に睨み付けられたり、怒鳴られても、平気になった。


「これは喜んでいいのかなぁ……」


思わずため息が出る。


「あの……」


不意に、後ろから誰かの声がした。


「何です…………え?」


「職員室の場所って、判りますか?」


振り向いた先にいたのは、一人の男の子だった。


「――――」


その男の子をみて、わたしは一瞬、思考が停止した。


「……どうか?」


「え!あの……こ、こっち」


わたしは、自分の頬が熱くかるのが自分でもわかった。


――――そんなはずない。


自分で自分に言い聞かせる。


そう。


そんなはずがない。


10年前の“四つ葉のクローバーの約束”の男の子と、こんなそっくりな子なんて!


「じゃ、じゃあっ、わたしは……これで」


「え、ちょっ――――」


職員室前に男の子を置き去りにし、わたしはその場から逃げるようにして去った。




いや。




逃げた。



感想

  • 41061:更新遅れそうです; bymisato[2011-04-01]

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