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おにいちゃん、これおしえて?

[426] misato 2011-05-03投稿
Part four # 双子 #


「おにいちゃーんっ!」


わたしは、家に帰るなり、荷物を玄関へ放り、おにいちゃんの部屋へと駆け込んだ。


部屋へ入ると、人影が見えた。


「は……つね?び、吃驚させんなよ……」


そういって、ため息をつくのは、わたしのおにいちゃん……霜月隼人。


わたしは、何かあればいつも、おにいちゃんに相談している。


話を聞いてくれて、解決しようとはしてくれるんだけど……一つ問題が。


「そんな吃驚してないで。ちょっと、相談があるの」


「相談……??」


おにいちゃんが首を傾げる。


「うん、……10年前、この近くにわたしと仲が良かった男の子、居たよね??」


「ああ、居たっけな……」


素っ気なく応えるおにいちゃん。


「居たっけ、じゃなくて居たの!……でねっ、その男の子が、わたしのクラスに転入してきて!でね――」


わたしの話が終わる手前。


ばさっ。


おにいちゃんの机の上にあったノートが、床に落ちた。


「おにい……ちゃん?」


「……初音。そいつの事が、好きなのか??」


何でそうなるんだろう。わたし、転入してきたとしか、言ってないんだけど。


――これが、問題。


「何で好きとかの話になるの!」


「な、ならそんな報告、しなくていいだろ!」


おにいちゃんが、落ちたノートを拾いながら、反論する。


わたしのおにいちゃんは……世間一般で言う、“シスコン”だ。


わたしの相談の種が、男の子だとわかると、その瞬間……その相談には手を触れなくなる。


勿論、あの男の子が去った時……おにいちゃんは、わたしが泣きわめこうが、完全無視だった。

「第一……相談ってなんだよ。そいつが何かしてきた、のか?」

目が。目が怖いです、我がおにいちゃん。

「そうじゃなくて……、その男の子の名前、“池内颯天”で間違いないよね??」

自分でも、何でこんな質問をしたのか、わからない。

何か……何かが、引っ掛かっている。

「知らん」

おにいちゃんの返答は、シンプルだった。

「ちょ……、何で知らないの」

「初音以外の奴なんか、興味ない」

お願いだから、興味をもって下さい。

「えぇ……じゃあ、“そーくん”は??」

「そーくん……??」

おにいちゃんが、眉を潜める。

「お、憶えてる??」

わたしは思わず、身を乗りだした。

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