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子供のセカイ。241

[345] アンヌ 2011-05-22投稿
美香は手の中の紙を握り潰すと、身を翻して耕太の元へと走っていった。


白の乙女たちは、その日も通常通りに捜索任務を遂行していた。
「……いないわね」
「ソラ、あたしもう疲れちゃった。休んでもいい?」
「見つかったら覇王様に殺されるわよ」
そんな会話を交わすのは、ある二人の乙女たちである。彼女たちはラディスパークの中心から、八本の通りが伸びる地点に差し掛かり、隊を崩して、二人ずつに分かれたところだった。
そこは以前、夜明け時に覇王が美香たちを待ち受けていた、コルニア城を円環状に囲んでいるあの通りである。他の乙女たちの一部も、それぞれ二人組になり、八本の通りを隈なく探しながら、ラディスパークの外へ向かって波紋を広げるように歩いていた。
しかしいつものごとく、さっと空高くばらまいた色とりどりの花びらが反応を示すのを待つだけなので、退屈なのも事実だ。
乙女の内の片方は、いかにも気まぐれな猫といった様子でのびやかに欠伸をした。長いブロンドの髪がたおやかに揺れ、もう一人のソラと呼ばれた乙女が、視線でそれをやんわりとたしなめる。通りを行く通行人たちは皆、道の真ん中を堂々と歩く舞子の想像物に注目していたし、何より、二人は絵になるほど華やかで美しい容姿をしていた。
「つまんなーい。ダサい奴らしかいないし。もっとこう、あたしたちみたいな綺麗な人種っていないのかしら?」
「あんたはもうしゃべんないでいいから、ほら、花びらまいてなさい」
呆れて溜め息を吐いたソラが、率先するように篭の中に手を突っ込み、大量の花びらを掴んで青空に放った。
その途端。
空に散った花弁が、鮮やかに光り輝いたかと思うと、甲高い音で一斉にメロディーを奏で始めた。
二人の乙女は、素早く弛緩させていた筋肉を緊張させる。周囲の群集から驚きの声が沸き起こって、大きなどよめきとなりさざめいたが、二人の視線はその中でも、花びらが纏わり付くように漂っている街角の一角に釘付けになっていた。
そこには、最大の目標である二人の少年少女――耕太と美香がいた。
二人は顔に何の表情も浮かべないまま、周りの騒動も気にしていないかのような顔で、ただ並んで立っている。背格好と表情が奇妙なシンメトリーを成しており、まるで双子のように見えた。

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